恋がみのる時
「あなたたち-!!!」
後ろから大竹さんの声が聞こえた。
私と恵は大竹さんの方に目を向けた。
「なんですかあ?」
え、めぐさん、まさか喧嘩うってるのか!!
「あの、休憩時間終わってるんですけど」
大竹さんは、恵に怯えていた。
少しあせる口調と震えた声でわかる。
「そうなんだあ?んじゃ、まこ行こ~」
「え、うん」
大竹さんを置いて自分たちは足早に歩き出す。
「めぐ、大竹さん好きじゃないの」
うん、恵とは長い付き合いだし、話し方でわかる。
「真琴は??」
急な問いかけであせった。
「え、あたし?ん-、よくわかんない。けど、あんまかかわってないよ~」
「あ-確かにアイツ全然考えてることわかんない」
大竹さんがアイツになってるよ。
私はそんな人を差別できないけど、確かにあの人はわからない。
「あ、あの子ってさ」

「…ん?」

恵が指差す方を見てみる。
「この前のかっこいい子!!!」

ドキ…

「あ、あの子か」
やばい、なんか…緊張する。
「ちょっと話かけてみよっか?」
「うん。って、ええ?!」
恵は、走ってその子の元へ行ってしまう。
あたしも恵の後を追った。

「ねぇねぇ」
恵は、すぐさま話しかけた。
その子はびっくりしている。
「名前なんていうの??」
「え、香川一輝です」
名字は知っていたけど名前は知らなかった…
か、かずきってのか。
「一輝くん、君モテるでしょ!」
「え、全然!モテないっす!」
恵の問いかけに一輝は即答だった。
「うっそだあ、ぜったいモテてる♪ね?まこ」
恵が私に問いかけてきた…
一輝の視線は私に向けられる。
直視できない。

「うん!」
これが精一杯の言葉。

「・・あ!」

一輝は私の方へ近寄ってくる。

ドキドキ…

なんなんだよ-う!!ぜんぜん前見れないよ。


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