無邪気な欲望



「――ここって……」



椅子から転がり落ち、机の下に隠れるような形になっている私は、普段では見ない角度からの眺めになかなかしっくりこなくて、認識するまでに時間がかかってしまた。


ようやくここがどこで、自分が何をしていたのかを思い出した。



「視聴覚教室! 私、あのまま寝ちゃったんだ!! ――って、今何時?」



机の下から這い出して立ち上がり、時計を見る。


14時40分。


1時間以上も眠ってたの!?


5時間目どころか6時間目がとっくに始まってる。



「わ~ん! ヤバイよ~~~~!?」


時間を確認した私は慌てて階段を下り、出入口を目指そうとした。


その時――――。
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