無邪気な欲望


答えを聞いて、弾かれたように顔を上げる。


先輩は得意げに言葉を続けた。



「あの子、追っ払うにはあれが一番いい方法だと思わね?」



「思いません!!」



「じゃあ他になんか手あった?」



「……」



それを言われると何も言えなくて、思わず黙り込んでしまう。


確かに結果的には良かったのかもしれないけど、なんだか釈然としない。


私が先約っていうのはどう考えても納得出来ないもん。


不満を思いっきり顔で表現してみたけど、雑賀先輩は私から故意に目を背けて遠くを見つめるという手段に出る。


その行為がさらに私の不満を煽った。
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