無邪気な欲望
「つか、そんな事よりさ~」
視線はそのままあさっての方向を向けている先輩が、もっともな質問を投げかけてきた。
「そもそも何でお前はこんなトコいるワケ?」
「えっ?」
予想してたとはいえ思わぬタイミングで尋ねられ、答えに詰まってしまう。
いつの間にかこちらに目線を戻し、心底不思議そうにしている雑賀先輩の顔をじっと見つめて、言葉を探す。
「もう6時間目始まってっけど? オレはともかくお前がサボリとかダメだろ~」
「先輩もダメですっ!!」
すかさずつっこむ。
でも先輩は顔色一つ変えずにスルーして話を続けた。
「まさかお前……」
「? 何ですか?」
「オレ達が来るのわかっててノゾキ……」
「そんな事しないもん! 雑賀先輩のバカ!!」