白銀の女神 紅の王Ⅱ
ギュッと目を瞑り、シルバの反応を待っていると…
ポン……――――
「え?」
優しく私の頭に添えられる手。
予想とは違ったシルバの行動に驚いて目を開けば、目の前にはこれもまた予想外の穏やかな表情。
「忙しいのは今日までだ。婚儀が終わればまた普段の生活に戻る」
くしゅっと優しく髪を撫でられたからか、シルバが珍しく笑みを見せたからか、私の顔はほんのり赤く色づく。
一瞬、私が伝えたかったことを忘れそうになった。
確かに婚儀は明日に迫っていて、シルバの仕事が忙しいのは今日までだと言うことは分かっている。
だけど、明日から始まる婚儀もなかなかハードなものだった。
このアーク王国では王族の婚儀は3日にわたって行われる。
その1日1日にすべきことがあり、忙しくなると聞いた。
シルバの体は大丈夫なのだろうか…そう思っていた時だった。
「ッ……!」
フッと耐えきれなかった笑みを零したシルバが目の前にいたのは…
いつの間にかソファーに座る私を囲い、意地悪な笑みを浮かべるシルバ。
「俺のことが心配なのか?」
「なッ…私は真面目に言ってるのに」
からかわれる様に告げられた言葉にムッと口を曲げる。
フイッとそっぽを向いた私に溜息をつくシルバ。
ソファーについていた手を離し、そっと包み込んだ私の体を軽々と抱き上げて自分の膝に下ろす。