白銀の女神 紅の王Ⅱ
「シルバ!?」
向かい合う形になり、恥ずかしさが一気に増した。
しかし、当の本人は気にした様子もなくあたふたする私を抱き寄せる。
「心配されるほど軟弱ではないが、悪くない」
ピタリと抱きしめられた私の耳元でクスッと笑うシルバ。
広い胸にすっぽりと収まり、やけに機嫌の良いシルバを訝しがっていると、クイッと顎を上に持ち上げられる。
「お前は俺の事だけ心配していろ。自分の不安を忘れるくらいにな」
「ッ………」
紅の瞳に魅入られながら顔を赤くする。
今度は誤魔化しようのないくらい顔に出してしまっていると思う…
「婚儀を明日に控えてまだ不安なのか?」
「そうじゃないけど……」
腕の中で大人しく収まる私を膝に乗せたままソファーに背を預けるシルバ。
冷静に私を見据えるその姿は少し呆れている様子。
それは、この一か月間さんざん不安を訴えて、その度にシルバに不安を拭ってもらって。
さすがのシルバが呆れるのも無理ないかもしれない。
しかも今回は婚儀を明日に控えている日だし…
だだ…今抱えている不安は婚儀とは関係ないものだけど。