白銀の女神 紅の王Ⅱ



ウィルもそのことを自ら自覚しており、こうして外に出ることは滅多にない。






宰相とは城に在るもの―――


それは若くして宰相の座に就いたウィルの考えでもあった。

それが今はこうして俺たちを追いかけて前線まで来ている。

ウィルは深く息を吐き、答える。






「エレナさんを攫ったのが小物だったら貴方たちに任せようと思ったのですが…事はそう簡単ではなさそうでしたし」


頭を抱え、難しい顔をするウィル。




「エレナさんは本当にギルティス兵に連れ去られたんですか?」


その顔つきは宰相としての顔つきだった。





「兵士の話では貴方たちはギルティスの矢があの場に落ちていただけでここに向かったと聞きましたが…ギルティスの矢など似せればいくらでも造れます。犯人に踊らされている可能性は頭にあったでしょうに何故貴方は迷わずここに向かったのですか?」


その問いに沈黙が訪れる。

ウィルが言うようにあの場に残されていた矢だけではエレナがギルティスに攫われたという確たる証拠にはならない。

だが、エレナはギルティスに連れ去られた。

そう感じるのだ。

まぁ、これを伝えるのも、ウィルを納得させるのも難しい。




どうしたものかと考えていると…



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