白銀の女神 紅の王Ⅱ


「ウィル様」

「何ですか」


兵士の一人が小声でウィルに耳打ちする。

不機嫌ながらも答えたウィルに兵士はさらに申し訳なさそうにしながら続ける。




「シルバ様にお目通りをしたいと言う者がいるのですが…」


チラリとこちらを見た兵士に眉を顰める。



俺に?

一体誰が……


訝しげに思うも、先に応えたのはウィルで…




「後にしてください」


ピシャリと一言そう言って兵士を退けようとするが、兵士も引き下がろうとしない。





「それが…今すぐにと申しておりまして」


これにはウィルも眉を顰めた。

しかし、兵士の次の言葉に俺たちは耳を疑う。




「その者が申すにはエレナ様に関わることだと」

「ッ…エレナだと?」


突然声を上げた俺に兵士は「は、はい」と声を震わせて直立する。




「そいつを連れてこい」

「い、今すぐに」


そう言って駈け出した兵士の背を見ながら、俺に会わせろと言う人物を頭の中に浮かべる。

エレナの名を出したと言うことはこの件に関わる者か。

否、単なる冷やかしの類の可能性もある。

後者だった場合は相手にしなければよいだけの事。

エレナが返ってくる訳でもないが、会っておく価値はあるだろう。




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