LOVE*PANIC
ライブの打ち上げ会場となったのは、ライブハウスだった。
それなりに大きい規模のライブハウスには主役である竣平をはじめ、ライブスタッフと様々な業界関係者がひしめいていた。
竣平はいつも同じ、このライブハウスで打ち上げをする為、一歌がこの店に足を運ぶのは初めてではなかった。
このライブハウスはアマチュアの間では有名で、竣平もデビュー前はここでよく歌っていたのだ。
そんなよしみもあり、竣平のライブ打ち上げはいつもこの店なのだ。
一歌は色んな人がいるこの場で、話し相手を見付けられず、一人で隅に立っていた。
周りを見回しても親しい人は響くらいで、その響は彼女と一緒にいるので、何となく近付けないのだ。
一歌は壁に背を持たれかけさせ、溜め息をついた。
程なくして、竣平がステージ上に現れ、この場にいる全員に挨拶と感謝の言葉を述べた。
一歌は壁から背を離し、竣平の言葉に耳を傾けた。
「じゃあ、存分に楽しんで下さい」
竣平の最後の台詞が終わると、会場には拍手が沸いた。
一歌も周囲と同じように拍手をする。
ぱちぱち、という音で会場が埋め尽くされる。
一歌は拍手が止むと同時に、また壁に背を預けた。
「楽しんでる?」
飲み物すら手にしていない一歌に、竣平が近付いてきた。
「はい、呼んで頂き、ありがとうございます」
一歌は慌てて姿勢を正した。
竣平は笑いながら、カクテルの入ったグラスを一歌に差し出した。