LOVE*PANIC
だが、それなら、普通に事務所を通して話を持ってくればいいだけだ。
あんなふうに、「恋愛しない?」などと声を掛けてくる必要はない。
一歌の中で疑問が渦巻いた。
「……何で、あんなふうに声を掛けてきたんですか?」
一歌は小さい声で訊いた。
もし、普通に話を持ってこられただけなら、こんなふうに好きになることはなかっただろう。
「それは、こうしたほうが意味があるから」
修二の言葉の意味が一歌には分からなかった。
「そもそも、俺のイチオシ、といったところで、いっちゃんだと製作側の許可は出ない、悪いけど」
一歌はそれもそうだろう、と思った。
「前から、気にいった歌手、あ、竣平くんとかね、主題歌頼むことは度々あったんだけど、それにはある程度の知名度は必要なんだよ」
一歌は修二の言葉に納得した。
幾ら、竣平が売れていなかったとはいえ、一歌程ではない。
それに今回は、賞を獲った後の初の主演ドラマだ。
それだけに世間の期待は大きい。
自分のような歌手では駄目だ。
「だから、俺の恋人、て言えば、俺の我が儘だと思って納得するでしょ?
葉瑠を嫌がったのも含めて」
修二の話は矛盾しているようで、していない。
葉瑠とのことは、修二自身が嫌なだけで、周りの視線は気にしていないからだ。
だから、周りには一歌が恋人だと思われても構わないし、マスコミにさえばれなければ問題はないのだ。
それに、プロデューサーなどは、簡単に俳優のプライベートを言い触らしたりはしないものだ。