ハッピーエンド
「葛西さん!」

「仲埜さん・・・お願いだ、今日まで半年待ったんです。私にこれを使わせないでくれ」

麻里が目の前のカウンターに置いた拳銃を葛西は握り締めた。銃口が仲埜に向けられ人差し指が引き金にかけられた。

劇鉄は起こされている。

葛西の指にほんの僅かな力が加われば炎と共に発射された銃弾が仲埜の胸を貫くだろう。

「あなた達を信用しない訳ではない・・・でも、もし仲埜さんに逃げられたら私には生きる理由が無くなってしまう。何も残さずに死んだ事になる」

「・・・」

人間は自分に向けられた銃口の前では無力だと仲埜は思った。

葛西は多分、自分を撃たない。いや撃てない。
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