ハッピーエンド

香坂麻里（こうさか　まり）は来月２０歳になる。
市内のファーストフード店でアルバイトをして生計を立てていたが、生活には今の所困っていない。

それも高校生の時に知り合った葛西　司（かさい　つかさ）のおかげだった。

司の父は市内でも・・・いや県内でも有数の富豪だ。司の母も彼が幼い時分に病気で亡くなったが、それでも彼を愛する父の栄司と大勢のメイド達にかこまれて何不自由なく育った。

そんな環境で育ったせいか司は身寄りが無く毎日同じ服を着ている麻里に殊更親切にしてくれた。

麻里もそれが嬉しかった。寮母達も優しいがそれは仕事だからである。司の優しさには計算が無かった。