ハッピーエンド
心の底から麻里を可哀想だと思ってくれたし、それが二人の愛情に変わるまで長い時間は必要なかった。

司と付き合うようになって明るくなったと自分でも思う。昔の自分は屈折して他人を寄せ付けなかった。

写真に写る麻里は何の不安も無い屈託のない笑顔でこっちを見つめている。

司と並んで歩くと擦れ違う男は皆、麻里を振り返り、女は皆、司を振り返った。

司が死んだあと、麻里は写真に写っている長い髪を切った。司が似合うからと言ったので茶色く染めていたのも元に戻した。表情も元に戻った。

知らない人が見れば写真の女と今の自分は別人かと思うだろう。



< 65 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop