穢れなき獣の涙

*誇り

 
 ──次の朝

 目を覚ましたシレアの視界に、向かいのベッドに腰を落とし深く考えることでもあるのか、瞼(まぶた)を閉じて瞑想をしているユラウスが見えた。

 黙ってそれを見ていたシレアはふと、目を開いたユラウスに怪訝な表情を浮かべた。

 前方の空間を見つめたまま、まばたきもせずぴくりとも動かない。

 何かを見ている?

 その様子をしばらく眺めていたが、どうにも暇で立ち上がる。

「まて」

 朝の空でも仰ごうかと扉に手を掛けた青年を呼び止めた。

 シレアが振り返ると、彼の表情は複雑な色を示し、その感情は読み取れない。

「解ったのか」

 ユラウスは深く息を吐き出し、シレアを見上げてゆっくりと頷いた。



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