穢れなき獣の涙
しかし回数を重ねるにつれ、それも億劫(おっくう)になってくる。
それにも増して、口づけから先に進むことなど何一つない事実に気が滅入る。
男にとってそれは酷でしかなく、それ以上のことを想像しても下半身は魚だ。
たちまちに萎えていく。
「マーメイドのウィザードは人間に変身出来ると聞いたが」
「そこまでしてくれりゃいいけどな。生憎と口づけで終(しま)いだ」
まあ、そこで終わってくれねえと、怖いもんが待っているけどな──そんな言葉を口の中でつぶやいた。
「お? 終わったようだ。上げてやれー」
手を振って早く上げろと合図しているシレアに手を振り返す。
「ご苦労さん」
「言ってくれる」
しれっと言ってのけるネドリーに呆れ、海水でずぶ濡れになった服を早く脱ぎたいと顔をしかめる。
それにも増して、口づけから先に進むことなど何一つない事実に気が滅入る。
男にとってそれは酷でしかなく、それ以上のことを想像しても下半身は魚だ。
たちまちに萎えていく。
「マーメイドのウィザードは人間に変身出来ると聞いたが」
「そこまでしてくれりゃいいけどな。生憎と口づけで終(しま)いだ」
まあ、そこで終わってくれねえと、怖いもんが待っているけどな──そんな言葉を口の中でつぶやいた。
「お? 終わったようだ。上げてやれー」
手を振って早く上げろと合図しているシレアに手を振り返す。
「ご苦労さん」
「言ってくれる」
しれっと言ってのけるネドリーに呆れ、海水でずぶ濡れになった服を早く脱ぎたいと顔をしかめる。