裸足のシンデレラ
* * *


「まぁ…少しはマシになったよな。」

「ホント!?」

「ホントに少しだけどな。」

「真姫にしては上出来よ。
瞬の足を踏まなくなっちゃったのは少し残念だけど。」

「…里穂…てめぇ…。」


…上達…したのかな?
でも確かに足は踏まなくなった…かも。


「僕と踊っていただけませんか?」

「え…?」


不意に隣から聞こえてきた王子様とシンデレラのセリフ。
ちょっと廊下に出てみると、隣の教室の前にはずらっと見に来た生徒たちが集まっていた。

今まさに、シンデレラと王子様が出会ったシーンの練習中。


「僕と一曲…踊ってください。」


すっと差し出された手。
王子様みたいなその仕草に胸がきゅんと高鳴る。


「…ええ…喜んで。」


にっこりと可憐に微笑むシンデレラ。
その笑顔がホントにシンデレラみたいに可愛くて、お姫様みたいで…少し、切ない。

手を取り合い見つめ合う二人。



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