裸足のシンデレラ
* * *


「泣くなよシンデレラ。
俺が何とかしてやっから。」

「あ…あなたは…?」


…って瞬。魔法使いはそんな口調でシンデレラに話しかけたりしないんだけど…。


「俺?俺は魔法使い。ってなんか自分で名乗ると胡散臭ぇけど、本物だから。」

「魔法使い…?」

「お前に夢を見させてやる。極上の夢をな。」

「私の夢をご存知で…?」

「舞踏会に行きたいんだろ?
そして王子に会いたい。違うか?」

「…そ…そうです。王子様に一目でもお会い出来たらと…。」

「んな甘いこと言ってると、どっかの貴族の連中に王子を持って行かれちまうぞ?」

「え…?」


…瞬。やばい。それはやばいよ。完全に台本になかったセリフだよ。
姫花ちゃんだって困ってる。


「いいか、シンデレラ。
俺がお前のためにかける魔法には時間制限ありだ。
今のお前みたいに甘っちょろい考えならあっという間に時間になる。」

「時間…。」

「俺が今からお前を世界で一番いい女にしてやる。
だからお前は王子を捕まえろ。12時の鐘が鳴る前に。」


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