「…あの…」

外ばかりを見る俺に、彼女は心配そうに声をかけた

「あ、ごめん。ボーっとしちゃって。」
苦笑いをしながら立ち上がり、カバンを持った

「ごめんなさい…迷惑ですよね?
いいですよ?ここで…本当に大丈夫ですから」

彼女は座ったまま、申し訳なさそうな顔をしてる

「…そんな事ないよ? カズは親友だし
その婚約者をこんな危ない街に放っておけなし…
それに…」

そう言いながら、彼女の肩に手をかけた

「………?」

「話の続きしてもいい?」


そう言いながら俺はニッコリと微笑んだ

でも、その反面では
今にも彼女に抱きついて泣き叫んでしまいそうな自分がいる




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