カズくんの声を遠くに聞きながら
私は昨日の事をひたすら思い出していた。



”おめでとう”

あの冷たい視線で…
あの冷たい声で…



もう一度…追いかけるはずの恋だった
こんなにも早くもろく壊れるもの?



否定しなかったのは私…

”うん”と答えたのは…

「ルナ?」


カズ君は優しい声で、私の名を呼んで、自分の胸へと引き寄せた



「俺の事すき?」


”好きになれた?”


―「好きかな?」




「ウン」



そう言うと同時に私はカズ君を抱きしめ返した。


相手がハチでないことを確認し…
過ぎてしまった過去を…

言い出せなかった気持ちもすべて…

閉じこめるように


「好き。」



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