それに気づいたのかカズくんは笑うのを辞め
ニッコリと「部屋に入れて」と言ってきた。

私は何の迷いもなく「うん」と答え、玄関へと駆け下りた
扉をあけるとカズくんは携帯を握りしめながら立っていた

「おはよう」
私が言うと、またニコっと笑い「はよう」と答え玄関の中へと入ってきた。

スリッパを置いて、「こっち」と言いながらカズくんの前を歩き、
階段を登ろうとしたときだった

「サボリ~」
そう言いながら後ろから抱きしめられた

「…ちょ、何し…」
私が抵抗しようとすれば、強く抱きしめてくる。
「カ、カズくん…?!」

私より何十センチも高いカズくんは、顔を私の横にまで落としてきた。

息が耳の横を通る…

もう顔は真っ赤…
心臓もばくばくしてて、破裂しそう。


「目…真っ赤やな。」
「…え、あ~…うん…」

言葉を濁しながら目に手をあてた。

「昨日…ハチに言われたで。」

「え?」

その言葉に思わず手を下ろしてしまった。

「…おめでとう。って」

真っ赤に腫れた目は一気に大きく開いた
カズくんはそのまま続けて言った。

「俺等って…付き合ってたん?」
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