願い事
本当は言おうとしたのに...
智城が...寂しそうに笑うから...
智城がうちの...嘘に気づくから...
言えなかった...
言っちゃだめだって分かった...
「稔はそれで本当にいいの?」
「...うん...智城が...幸せだから...」
本当にいいの...
泣くのをやめ、嘉穂から離れる
「本当に?」
「...うん」
嘉穂の前を歩いてく
「そっか。ならいいか」
後ろで嘉穂が笑ったのが分かった
「もう帰るの?」
「はい?」
振り返れば嘉穂が笑ってる
「どうせなら遊ばない!?」
「どこで」
ここ、他県だし...
街に帰ればもう5時過ぎるし...