願い事


「....なんでだよ?」


「それはっ」


「好きな人なんて居ないから。全然気になってる人じゃなかったから」


嘉穂の言葉を遮った


「稔ッ」


嘉穂があたしを睨んでる


「...そっか」


「うん、じゃあね」


嘉穂の腕を掴んで公園を出る


「ねえ、なんで言わなかったの?」


「....」


嘉穂が後ろで言ってる


だけどうちは何も反応しない


「ちょっ、聞いてるの?ッ...」


振り返ったうちを見た嘉穂は、何も言わなくなった


だってうち、泣いてるから


「稔...?」


「うち...言いたいこと...言えなかった...」


嘉穂に泣きつく


「稔...」


「本当は...好きって言いたかったのに...」


言えなかった...











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