言葉~ことのは~【短編】
恋人と付き合う前、
よく刃物で自分の身体を傷つけたが、
別に死にたいと思ってやっていたわけではなかった。


肌に浅く傷がつき、
血が出るということに怖さは感じなかった。



 
血が滲むと
心臓の鼓動が少しだけ大きくなる。

その音は、
あの夢を見たときのような苦しいものではなく、
身体が少し軽くなるような感じを受けた。


触れるたびに
傷口が
ヒリヒリと痛むことも
快感と言えたかもしれない。
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