狼かける吸血鬼<短>
近い、怖い、暑苦しい…!
「落ち着いて……」
『ハァハァ』
ぎょわわわー!!
息荒!へ、変態!救いようの無いタイプの変態が!
『むっふふ』
やばいよやばいよやばいよ!!
笑い方気持ち悪い!
『うーるちゃーんっ!』
1人、特に危なそうな奴が、遂に私に向かって飛び掛かろうと、手を振り上げた。
「――…!!」
『ずいぶん楽しそうじねぇか』
「へ?」
突如聞こえたその声に、全員の視線はそちらに向く。
おかげで襲われる事は免れたんだけど、この声って――
『俺様の飲み物がお気に召したか?』
「さ!笹木遥!」
人ごみの間から見えたのは、またしても超自分勝手な事をほざく吸血マニアで。
「な!なんでお前が!巨乳女はどうした!」
『助けて貰っといてなんだその態度。俺は只忘れ物取りに来ただけだよ馬ー鹿』
笹木遥は、言った通り、手に何か小さな箱を持っている。
『吸血する時に相手に感染しないようにするための物。俺等吸血鬼が体内で栄養に変える良い物も、人間にとったら達の悪い病原体みたくなるらしくてよ。これが必要なんだと』
そんなものがあるのか。
そーかそーか。ふーん。
だから、別にこいつは私の事を思って戻ってきたとかじゃなくて。只の偶然で。
ふーん、そっか。なんだ。