狼かける吸血鬼<短>
屈辱的この上ない…。
『はっ、よくできました』
笹木遥は満足そうに鼻を鳴らすと、私に近づいて、手を引いた。
『お望み通り食らってやるよ』
「ぎゃっ…!何っすんだ……!離せ!」
そのまま引きずられ、何処かへ連れていかれる。
『お前が懇願したんだろ?』
「それは…!」
お前が言えって言ったから!
あの状況でなら言うのが最善の策だったんだ!
『どーせ逃げようとか考えてたんだろ?』
何でばれてるんだ!!
くっそ!力強いんだよボケ!!
腕をどんなに振っても、握られた手首が痛いばかりで、なんの効力も無く。
結局、そんな事をしている内に、笹木遥の足が止まった。
「……?」
止まった目の前にあるドア。
そのドアの上、つまり部屋の名前が書かれたプレートを見ると、
保健室
状況によって危なく聞こえる響き。
なんとも、笹木遥に似合う響き。
つまり、今がその危なく聞こえる状況で。
『入れよ』
笹木遥はそう言ったのに、腕を引いて連れ込んだのも笹木遥本人で。
私の意志はまるで無視。
「何するんだよ…!」
見渡せば人っ子一人いないし。
『決まってんだろ?』
笹木遥は後ろ側に手を回して鍵を閉めた。
「ちょ!今何した…!」
『何って鍵閉めたんだよ。
何?自分が感じてる所見られたいの?』