狼かける吸血鬼<短>


何を言いだすんだ。

「…な訳ないだろカス!」

『耳ピョコピョコ動かしながら怒るなよ』


勝手に動くんだから仕方ないんだよ。これは。


『おら、ベッドに仰向けになれよ』

「ふざけ…!」

『大真面目だ』

「おい!止め…!」

威圧的な雰囲気を出して、ズンズン近寄ってくる笹木遥から逃れようと、後退りする。

『逃げ場はもうねぇよ』

「きゃっ!」

顔をグッと近付けられて、後ろに一歩下がろうとした瞬間、足はいつのまにか後ろにあったベッドに突っ掛かり、背中からベッドに倒れこんでしまった。


『いー眺め』

「馬鹿…!止めろ…!」

笹木遥が方膝をベッドにかけたせいで、体はより深くベッドに沈む。

手をベッドについて起き上がり、逃げようと試みる。


…が、


『させねーよ』

「んに゙ゃ!」

それは阻止され、それどころか笹木遥は両膝で私の足を挟むようにし、両手は耳のすぐ近くに。

おかげで距離が縮まる。


『堪んねーいい匂い』

首筋に鼻を近付け、すぅと息を吸い込む。

それだけで、笹木遥の鼻先が触れただけで、痺れるように体が強張る。



『遥様って、もう言わねえの?』

「…言うかボケ!!」



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