狼かける吸血鬼<短>
『で、本当に吸うけど良いのか?』
今更になって私に許可を求めだす笹木遥は、訳が分からない。
「止めろって言ったら止めてくれるのか?」
『…無理矢理ってのも何か気が引ける』
何で今になってこんな事を言いだすんだろうか。
あんなに吸いたがっていたのに。
『…拒否された事なんて無いからよ…。何か調子狂う』
突然私の上から退く笹木遥。
謎だ。
逆に怖い。
今までの強引さは何だったのか。
『いや、勢いに任せりゃ、無理矢理でも気にならねえかなって思ったんだけどよ』
何とも言えない表情で頭を掻く笹木遥。
どうやら、こいつはこいつなりになにかしら悩んでいたらしい。
『やっぱ今日は止めとく』
「え?」
鍵を開けて、ドアを開ける行動からも、どうやら本気らしい。
拍子抜けの私は、なんとも情けないが、保健室から出ていった笹木遥を、ベッドの上から呆然と見ていた。
…大好物だ。って言うのは嘘だったのか?
何故か無性に心がモヤモヤする。