狼かける吸血鬼<短>
それから数日間、笹木遥は、私に寄り付かなくなった。
「何なんだ一体…」
前までは鬱陶しいくらいに付きまとわれていたのに、それが突然無くなった。
それどころか学校に顔を出す事も少なくなって。
私は笹木遥の様子がまるで分からなかった。
『遥君今日も来ないねー…』
『つまんなーい…』
クラスの女子の皆も、今笹木遥が何をしているのか、知っている人はいないみたいで。
さぞかし残念がってる様子。
するとそこに、
『うふふ、私、昨日遥に会ってきたわよ』
巨乳女が巨乳を揺らしながら登場した。
いつの間にか呼び捨てになってる事を聞き逃さないくらい、私はその言葉を聴覚を研ぎ澄まして聞いていて。
机に座って前を向いているのに、内心興味津々で。
『遥ったらよっぽどお腹空いてたみたいでぇ、何回も何回も…。ほら見て…こんなに跡付いちゃった…』
襟を開いて首筋を露にする巨乳女。
横目で見るとそこには、痛々しくも生々しい、赤い跡が点々と付いていて。
巨乳女の言う事が嘘では無いことを物語っていた。
『遥ったら激しいの…血、無くなっちゃうかと思ったわ…』
自慢気に話す巨乳女。
その姿を見て、嫌なくらい心臓が痛くて。
こんな気持ちにさせる笹木遥が、憎らしくて悔しくて。
私は教室を飛び出してしまった。