狼かける吸血鬼<短>
しかし何だか、笹木遥の様子がおかしい。
以前よりも痩せたように見える体は弱々しく、いつもの自信満々の笑みすら浮かばない。
『……はぁ…』
おまけに呼吸は荒く、辛そうで。
『ぐっ…!』
途端、顔を歪ませたと思えば、胸辺りの服にシワが出来るくらい強く掴んで、膝から床に倒れた。
「え…!?どうしたんだ…!」
『…んでも…無い……!クッ』
私が駆け寄るのを、腕で防ぐ笹木遥。
「何でも無い訳無いだろ!凄く苦しそうじゃないか!」
額に汗をかいて、ギリギリと歯を食い縛って何かを耐えてる様子。
これが、何でも無い筈が無い。
『お前には…関係な…い』
ぷっちん
私が珍しく本気で心配してあげてるっていうのに。
悩んでたのも忘れるくらい、必死だったのに。
もうぷっちんした。
「はいはい、私じゃ駄目ですよねー!分かったよあの巨乳女連れてきてあげる!!」
きっと血を飲んだら元気になる筈。
でも、私に関係が無いっていうのは、私の血を吸う気はさらさらないと言うこと。
巨乳女の美味な血に、狼のもいってみてやろうっていう一種の珍味的感覚も無くなって。
私への興味も薄れたんだろう。
「そんなんだったら最初から大好物だとか嘘つくなよ…!」
むかつく、むかつく。
『おい待て…』