世界が終わる前に
何となく憂鬱ないつも通りの朝を迎えた水曜日…――午前に数学の抜き打ちテストがあった事以外、難なく今日一日が終わろうとしていた。
とりわけ今日は一つだけ嬉しい事があった。
それは夏休みの宿題として出されていた読書感想文は、我ながら渾身の力作で、それが見事に学校から表彰された事、だった。
どうやらそれは近々市内のコンクールに出されるらしい。
如何にもボs……お母さんが喜びそうな功績だろうと無意識に思ってしまう私は、完全に朝吹家の家庭教育という名の毒牙に侵されている。
しかし、そんな些細な喜びをきっかけに単純な私はすっかり上機嫌だった、その日の放課後。
…――事件は、何の前触れもなく起きた。
それはちょうど、下駄箱で上履きからローファーに靴を履き替えていた時で、
「…――朝吹奈緒!」
「ひゃぁあッ!?」
突如として、後ろから聞こえたのは、聞き覚えのあるハスキーな悪声。