世界が終わる前に
出来れば極力、聞きたくなかった声だ。
そろりと振り向けば、案の定視線の先には予想通り怖い表情を浮かべた相田さんが、胸の前で腕組みしながら仁王立ちしていた。
「顔かしな」
そんな恐ろしい殺し文句を吐き捨てて、至ってクールにくるり、とまたいつかのように短いスカートを翻した相田さんは、スタスタと校門へ向かってしまった。
なんとも姐御肌な相田さんの後ろ姿には、中学生にあるはずのない貫禄が見え隠れしている。
まさか女番長に転身!?
ヤンキー上等!?
今日もエッチな下着だし!
チラリズムありがとう!
……じゃなくてっ!
「あ、あの、相田さん……?」
意に反して吐き出した言葉が吃ってしまったのは、あきらかに不安の現れで。
私は、恐る恐る窺うように貫禄溢れる相田さんの背中に話し掛けた。
「由紀」
「……は?」
「だから、あんたには特別に由紀って呼ばせてあげる」
「……」