世界が終わる前に


出来れば極力、聞きたくなかった声だ。


そろりと振り向けば、案の定視線の先には予想通り怖い表情を浮かべた相田さんが、胸の前で腕組みしながら仁王立ちしていた。



「顔かしな」



そんな恐ろしい殺し文句を吐き捨てて、至ってクールにくるり、とまたいつかのように短いスカートを翻した相田さんは、スタスタと校門へ向かってしまった。


なんとも姐御肌な相田さんの後ろ姿には、中学生にあるはずのない貫禄が見え隠れしている。


まさか女番長に転身!?
ヤンキー上等!?

今日もエッチな下着だし!
チラリズムありがとう!

……じゃなくてっ!





「あ、あの、相田さん……?」



意に反して吐き出した言葉が吃ってしまったのは、あきらかに不安の現れで。


私は、恐る恐る窺うように貫禄溢れる相田さんの背中に話し掛けた。



「由紀」


「……は?」


「だから、あんたには特別に由紀って呼ばせてあげる」


「……」


< 104 / 202 >

この作品をシェア

pagetop