世界が終わる前に
相田さん……由紀ちゃんって、ホントによくわからないヒトだと思う。
それは勿論、不思議とかいう分類じゃなくって、理解出来ないって意味での“わからない”だ。
でも、私がそんなふうに思ってしまうのは、やっぱり私と彼女の住む世界が違うからなんだろう。
「で?……あんた、あたしになんも言う事とか、ないわけ?」
通学路の路肩に停められていた赤い自転車のハンドルを握って、こちらに振り向いた由紀ちゃんは、ジロリときつい般若のような目つきで睨んだ。
……怖ッ!
今すぐにでも逃げ出してしまいたい衝動を抑えつつ通学鞄を抱き抱えながら、私は絞り出した声を震わせた。
「……言う、事?」
「そう。ないわけ?」
言いながら口調を強めた由紀ちゃんの怖い顔には「あんたまさかないとか言うんじゃねェだろうな?」って、もろに書いてある。(気がする。)
…………どうしよう!
全然何も言う事ないんだけど!