世界が終わる前に
だから、無性に彼の名前を、呼んでみたくなった。
「黒斗……くん?」
「……あ?」
「あの、」
「何?」
「あ、その、……呼んでみた、だけ」
「……」
意外そうに目を丸くした黒斗くんの表情が、何だかやっぱり可愛く見えて仕方ない。
今まで同年代の男の子を可愛いなんて思った事、一度もなかったのに……。
黒斗くんは、本当にたくさんの気持ちを私にくれる。
でも、我ながら妙なタイミングで名前を呼んじゃったかもしれない。
だって、数秒間ジッとこっちを見てた黒斗くんの視線が、プイッとそっぽを向いてしまった。
そんな黒斗くんの横顔を暫くぼんやりと眺めてたら「つか、」と黒斗くんが低い声を出した。
「やっぱ、慣れてんだな」
そう独り言のように呟いた黒斗くんの視線はそっぽを向いたままだったから、私に向けて言ってるのかがわからなかった。
「……え?」