世界が終わる前に
「痛いですか?」
「……別に」
ぶっきらぼうに吐き出された短い台詞は、何だか強がっているようにも思えたけれど、そんな所も何だか男の子なんだなあ、と思えて胸がキュンとした。
「漆原くんは、我慢強いんですね。私なら泣きながら悲鳴上げちゃってます、絶対」
「……あんたは女なんだから、当たり前だろ」
そっぽを向いている彼のやっぱりぶっきらぼうに呟かれたそれに、私は曖昧に笑って消毒した傷口に絆創膏をペたりと貼付けた。
「つーか……敬語とか、使わなくていいから」
「あ、はい……じゃなくて、えっと、うん」
「……名前も、」
「え?」
「名字じゃなくて、黒斗でいい」
「え、あ、うん……わかった」
この人は、どうしてこんなにも私をドキドキさせるのが旨いんだろうか。
『黒斗でいい』
そう言われた事で彼との距離がグンッと一気に近づいたような気がして、とても嬉しくなった。