君と私とときどき君と





「だだだだ、だって!本物の刀突きつけてくるなんて思いもしないですから!殺す気か、てめえ!」



どくどくと流れ出す血を必死で止血しようと手首を押さえるが、意味はなく白いセーターが朱色に染まっていく。



「大体抜刀して人を傷つけるなんて、銃刀法違反ですよ?逮捕されたくなかったらそれ、早く締まってください!」



「あ?てめぇ、何言ってんだ?そんな馬鹿げた法あってたまるか。」



実瑠の血は留まる勢いを知らず、畳に滴る。



「土方さぁん、桃山さん、怪我してますよ?それも土方さんのせいでー。どうするんですか?傷、一生残るかもですよ?」


沖田はもう面倒くさくなってきたのか、だるそうに発言した。
しかし、土方はう、と言葉に詰まる。が、すぐに先程の威勢に戻る。



「俺ら新撰組はなぁ!幕府のお偉い方直属なんだよ!女子の怪我ひとつにいちいち躊躇ってる暇なんぞねぇ!」


「幕府…?」



あれ、幕府って、江戸とか鎌倉の?
でも幕府って滅んだんじゃ?


「あはは、何言ってるんですかぁ、幕府は滅びたじゃないですかぁ、今は天皇の時代ですよ!この時代遅れさんめが☆…って何か癇に触りましたか?」



へらへらと笑って茶化すが、いつの間にか3方向からの冷たい視線を感じる。



「お前…討幕派か?」




「…っへ?何それ?」




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