白緑蝶"Ice green butterfly
貴方の手には、二つの缶珈琲。

台車を押す私の手が塞がって
いることに気づいた貴方は
私の上着の左右のポケットに
缶珈琲を入れてくれた。

微笑みながら私は、貴方を
見上げる。

「あり、(がとう)」

話す、私の唇に触れたのは
貴方の指先。

「きれいな唇だな」

ドキッ・・・

ちょっと、待って・・・

あっ・・・

私の唇に触れる、貴方の口づけ
は息もつけぬほどに長く、珈琲
の味がした。

「サンキュー

 ご苦労さん

 ・・・・・・」

最後に一言、貴方は私の耳元
で囁き、そして歩いて行く。
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