彼岸と此岸の狭間にて
父親が風呂から上がって来たので母親の話相手を父親にバトンタッチして部屋に戻る。                     
(香澄に電話しないといけないけど、携番、この前聞くの忘れた。中学校の時のやつで通じるか?)                                       
『ルルルルル……』               
(おっ、通じた!でも、あいつの家は普通の家とは違うから忙しいか!?)                          
『はい…』                   
(出た!!)                  
「香澄、葵だけど…携番変えてなかったんだ!?」             
『うん。そう言う葵もね!?』

「俺は貧乏だからそんなに頻繁には替えられないよ。これだって4年目だし…今、大丈夫?」                  
『うん、今年は受験だから年末年始の行事は出なくて良いの!』                   
クリスマスイブの事を聞いてみたかった。たが、勇気がないのと、久しぶりの電話の話題としては相応(ふさわ)しくないだろうと思って止めた。                  
「『巻き物』に関する事なんだけど…」                  
『うん』                    
「香澄の家の主寺って『菩提寺』だよね!?」               
『そうよ』                   
「それでそこの住職に香澄の御先祖様の事、聞いてみれば何か分かるんじゃないかと思ってさ…」                
『あっ、そうか、そうだよね。さすが葵ね』                
「どうだろう、行ける時間とかある?何なら一緒に行っても良いけど…」               
『そうねぇ、再来週が統一テストだから、それが終わってからなら大丈夫よ』             
「分かった。また、その辺りに電話するよ」                
『葵も統一テスト受けるんでしょ?』                   
「まあ、一応は…」
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