彼岸と此岸の狭間にて
〔3〕         

赤沢は夕飯を食べて午後9時頃に帰って行った。              
「亮君(赤沢の名前)、ご飯に物凄く感激してたけどどうしたの?」                 
「あ〜っ、あれね…」              
赤沢家の『餅攻撃』を話す。                       
台所のテーブルで母親とともにお茶を飲んでいた。

「ほほほほっ、それは大変ねえ!…ところで、明日、お母さん達、お祖父ちゃんの所に行くけど、葵、あんたはどうする?」                
「俺はいいや。この前、行ったし…」                   
「受験生だしね」                
「でも、お年玉は貰って来てよね!?」                  
「そういう事は忘れないのね」

「当然!でさ、母さん!?」

「何?」                    
「うちの先祖のお墓って…目黒だよね…」                 
「そうよ。でも、あんたは小学6年を最後に行ってないわよ」

「そうだっけ!?」               
「どうしたの、急に!?」            
「いや、ちょっと…」              
「確かに目黒は不便よね…昔はあそこに住んでいたから良かったけど…ここに越して来て何年になるかしら?」                      
「俺が小学三年の時だから…9年!」                   
「もうそんなに経つのね!?お父さんがお風呂から上がったら相談しないと…」            
「何を?」                   
「お墓の移転…お祖父ちゃんもお祖母ちゃんもそんなに長生きするわけじゃないんだし…あたしもお父さんも間もなく入るんだから…」                       
「縁起でもない!」               
「何言ってるのよ、あんただって入るんだから、目黒じゃ不便でしょ!」
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