彼岸と此岸の狭間にて
〔4〕         

「葵〜っ、香澄ちゃんよ」            
白のハーフコートに黒のロングブーツ。長い黒髪に均整の取れた目鼻立ちに見事なプロポーション。どこから見ても『モデル』である。                       
今、高校三年生は自由登校なので1月下旬の平日の水曜日に時間を合わせて菩提寺に行く事にした。


「今日はデート…のわけないはね!?」                  
「そんなものですけど…」            
「上がって待つ?」               
「ブーツなので…」               
「もう少し待っててね!?」                                               
漸(ようや)く葵が現われる。目一杯めかし込んではいるが、そこには資金力という悲しい高校三年生の限界があった。                  
白のセーターにダークグレーのパーカー、そしてアイボリーのコットンパンツ。

「あら、葵も爽やかじゃない!?天秤に掛けたら香澄ちゃんに傾くけど…」              
「香澄には勝てないよ!」            
「デートならちゃんとエスコートするのよ!」   

「デートじゃないって!!」

「あらっ、そう!?」


香澄と目を合わせて『クスクス』笑ってる。


「じゃあ、行って来る」

茶色のカジュアルシューズを履いて表に出る。                                                                    


「歩いて行くだろう?」             
「うん、すぐそこだからね…」                    

あれほど年末に降っていた雪は年が明けてからは一度も降ることもなく、町中に雪を見る事は出来なかった。           
                   
「葵、試験どうだった?」            
「7割ちょいぐらい…香澄は?」         
「私は8割5分ぐらい…数学で失敗しちゃって…」
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