彼岸と此岸の狭間にて
「でも、国立が第一志望じゃないんだから、この後に頑張れば良いだろう!?」            
「そうなんだけどね…葵は?」

「俺は東京の国立はほぼダメ!こうなると都落ちかな!?ははははっ…」                    
「私立は?」                  
「中堅所(どころ)を何校か…」                                           

駅の中を抜けて反対側に出る。          
葵と香澄が住んでいる側が南側で、こちら側は北側となる。                                  
菩提寺は北側の駅前のアーケード商店街を通り抜け、そこから300メートル程歩いた山の麓(ふもと)にある。                        
「お寺には連絡した?」             
「うん、1時間ほど前に…」                                   
葵は北側に余り来た事はない。町並みが『ゴチャゴチャ』としていてどうしても好きにはなれなかったのだ。                                                                                     





なだらかな広い幅の石段をゆっくりと上って行く。平日の午後1時頃となればお寺を訪れる人も殆どいない。                                                             

目の前にかなり高く大きな屋根を持つ建物が現われる。                                   
「まずは和尚さんに挨拶してからお墓の方に行ってみましょうか!?」              
「うん…」       


香澄を見かけたのか、緋色の袈裟を着たお坊さんが現われる。
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