彼岸と此岸の狭間にて
和尚さんに軽く挨拶を済ませた後、墓地を目指す。



山道を50メートル程歩いて行くと広大な墓地が見えてくる。

その真ん中辺りに高く聳(そび)え立つ大きな墓石がある。                    
「あれが私の家のお墓よ」

香澄が指差す。                 
「じゃ、行ってみようか!?」                      


大小の墓石の中を抜けて『土門家』の墓の前に立つ。            
「大きいよな〜っ!」              
「10年前に作り直したんだけど…」                   

葵は墓石の裏側に回ってみる。そこには墓の中に入っている人と入っていたと思われる人の名前が彫り込まれていた。                   
(土門重吉郎から始まって香澄のお祖父ちゃんの名前まで載っている)                
「香澄のお祖父ちゃん、って10年前に亡くなったんだ!?」

「うん。その時、作り直したの。どう?」                 
「うん、『巻き物』通り。一応、没年も載ってるし…ただこれだけでは何も分からないのと同じだけど…」              
「そうかあ…」                  
「戻って和尚さんの話を聞こう!」                                                                                                                    


薄暗い本堂の中で祥庵和尚と対面して何か話し込んでいる。            
「そうだったんですか、古い『巻き物』が…それで土門家の開祖の方の事が知りたいと…」                  
「どうですか、わかりますか?」

「ちょっと調べてみますから待っていて下さい。あっ、そのままでは足が痺(しび)れますからどうぞ足を崩して…」                   
そう言って和尚は本堂を出て行った。
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