彼岸と此岸の狭間にて
〔5〕         

駅の中にある喫茶店で軽い食事を取る葵と香澄。              
「今日は疲れたね!?」             
「そうだなあ…疲れた…」            
「収穫は?」                  
「あったような、ないような」

「何それ?」                  
「うん、土門重吉郎が自害したのが分かったのは収穫だったけど、武士止まりというのは…」                  
「葵は何だと思ったの?」            
「あれだけのお金を寄贈していたという事から考えれば、絶対『商人』だと思っていた」                    
「私も…」                   
「でも、不知火神社の神主さんの話によると、『土門グループ』の基礎は明治時代に出来たって事だよ」             

「それは私も聞いてる」             
「後は自分の祖先の墓を見てくるしかないか!?」             
「葵の家のお墓ってどこ?」

「目黒…」                   
「目黒って葵がこっちに越してくる前に住んでいたとこでしょ!?」                 
「うん…」                   
「でも、試験もこれからが本番だから、試験が終わってからの方がいいんじゃないの?」                    
「そのつもりだよ」               
「うちもお祖母ちゃんはまだ健在だけどどこまで知っているかは分からないし…多分、余り知らないと思う。お嬢様育ちだし…」              
「香澄も人の事は言えないような気がするが…」              
「何よ、それ!」                
「兎に角、香澄は暇がある時で良いから…」                
「うん」                    
「香澄の一番最初の入試は?」
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