Rose of blood
『返事をしてくれないのか?』



私は微笑んで首を横にふった。



「嬉しいけど返事はまだしない……こういう時の女は男よりもロマンチストなのよ?」

『手厳しいな、分かった……また改めてプロポーズをするよ。その時は返事をくれるね?』

「勿論っ」



本当は喜んで返事がしたかった。


本当は抱きつきたいほど嬉しかった。


でも、その場しのぎの返事なんて出来なかった……。


貴方を裏切るような事をしたくなかった。


その言葉だけで私は十分だよ。


ありがとう……シエル…………。






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