Rose of blood
*****



カチャッ…………。


部屋の中には食器を片付ける音だけが響いている。


カインとは最初より今の方が距離を感じてしまう。


カインは喋らないどころか目も合わせてくれなくなってしまった。


それをとても悲しく感じている私がいる。


片付けた食器を載せたトレーを持ち、ドアの前に立ちカインの方に体を向けた。



「失礼致しました」



カインは最後まで書類から目を離さなかった。


そんなカインに話し掛けられる様な楽しい話題もなければ勇気もない。


胸の奥に気持ち悪さを抱えながらも、私は軽く会釈をし部屋を後にした。






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