Rose of blood
地下通路のようなところを通り抜けると、私たちは馬屋に辿り着いた。


屋敷から少し離れた場所にあるようだ。


屋敷からは煙が上がっており、離れた場所にいても殺気や争っている気配をひしひしと感じる。



「何が起こったの!?」

『クーデターだ』

「クーデター!?いったい誰が……」

『ごちゃごちゃ話している暇はない。お前たち馬には乗れるな』



私もアイシャも頷き、カインを見た。


カインは抱きかかえていた私の体をそっと降ろし、馬を二頭連れてきてくれた。



「カインは一緒に行かないの?」

『あぁ』



私を馬に乗せ、私の頬に触れたカインの手はとても落ち着いていて、まるでお別れを言われているようだった。



『生きろ』



その言葉と同時に私が乗っている馬のお尻を軽く叩き、言葉を交わす暇もなく私とアイシャはその場を離れた。






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