できちゃった結婚〜もしも俺が赤ちゃんになったら〜


「……本当はパパにあげるつもりだったんだけどね…。」



えっ……

俺に………?


希は寂しそうに呟く。


「……でも、パパ記念日忘れてたから真紘にあげる。」


そう言って拗ね気味に言った希は、俺(真紘)の首にそっとそれをかけた。


それを見て余計切なくなる。


希が一生懸命作ってくれたネックレス。

家族揃って笑顔のそのアップリケを見れば、希が何を望んでいるのか…
希の想いが見えるようにわかる。


だから、余計切なくなる。


今まで、俺は何をしてたんだろう。


仕事だけ頑張ってやっていても、家族が笑顔じゃなきゃ意味がない。


今まで、俺はちゃんと家族と向き合っていたのだろうか。


じゃなきゃ、希はさっき泣いたりなんかしない。


自分の不甲斐無さに、
情けなくて、悲しくて…また涙が溢れてくる。


涙が溢れてしまうのを誤魔化す為に、俺は希の肩に顔を寄せる。


希の香りと温もりが優しくて、また涙が溢れてしまう。


肩に顔を寄せた俺(真紘)を希は、ギュッと抱き締めてくれた。


「よしよし、いい子いい子。」



希、今だけ真紘の身体で思いっきり泣かせて。


希、ごめんな。


それと、ありがとう。


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