海の唄が聴こえる夜〜想いを君に伝えたい〜


女の子は、そんな男の子と目を合わす事なく4階へ続く階段の側に移動した。

男の子は黙って後についていった。

女の子は、4階のとある1室を指していた。

その部屋の玄関からは、荷物が運び出されていた。


「おじいちゃんね、私の家に引っ越して来るの。…だから…、もうここには来ないの…。だから…だから…ママが浩二君とサヨナラしてきなさいって…。」

振り向いた女の子の涙を見て、浩二は胸が苦しくなるのを感じた。

『美由紀ちゃん…。』

言葉が出ず、立ち尽くしたまま、時間は過ぎていった。


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