オパール・オッドアイ
ヘタレうさぎと夏祭り
次の日の朝、私は雪お兄ちゃんの叫び声と軽い振動で目を覚ました。
「…ん。おはよう雪お兄ちゃん。大丈夫?」
驚き飛びのいてベッドから落ちたであろう雪お兄ちゃんを寝ぼけ眼で心配する私。

「あ、あぁ。大丈夫…。
いや、大丈夫じゃないよな。
なんで聖歌が此処に?」

「やっぱり覚えてないよね。
昨日謝りに雪お兄ちゃんの部屋に来たら唸されてたから起こそうと思ったら動けなくなっちゃって…。」

昨日の事を思い出し少し恥ずかしくて頬を染める。

「俺なにかしたの!?」

反対に青くなった雪お兄ちゃんに慌てて首をふる。

「大丈夫!そんなに顔を真っ青にするようなことしてないから!
ちょっと抱きまくらにされて動けなくなっただけ!
ほら、人の体温ってほっとするし。
気にしてないから!」

元気付けようと思い付く限りの言葉を一気に言ったら、逆に見るからに凹ませてしまった。

「…そんな力いっぱい満面の笑顔で気にしてないからって強調しなくても。
抱き着いても気にされない男…。
いや、男として見られてないってことか…。」

「あぁ!違うの!ごめん!そうじゃなくて!!
抱き着かれて、その…、驚きはしたけど…、嫌、じゃなかったから…。」

恥ずかしくて下を向きながらもごもごと最後の方は聞き取れるか解らないくらい小さい声。
それでも雪お兄ちゃんには届いたらしくちらっと見ると嬉しそうな安堵した優しい笑顔を向けてくれる。
目が会ってしまい反射的に布団の中に隠れようとしたところを雪お兄ちゃんに捕まって顔だけ出した状態になってしまい布団ごと捕まったのでそれ以上本当に動けなくなってしまった。

「ありがとう、聖歌。
そう言って貰えて嬉しいよ。
ねぇ…。俺を男として見てくれているんだよね?
その上で抱き着かれても嫌じゃないって言ってくれるなら、俺と付き合っても良いってことかな?
それともまだ待たないと駄目?
俺的にもそろそろ、色々と我慢が限界近いみたいなんだけど…。」

雪お兄ちゃんの色気が一気に強くなって逆上せそうになる。
いつも見ている雪お兄ちゃんとはまるで別人だ。
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