オパール・オッドアイ
(凄い可愛い笑顔。
ああ、ウサギってこんなに私のこと好きだったんだ。)

愛されている自覚はあるつもりだったけどまだまだ足りなかったらしい。
再確認したのと同時に自分が誰を愛しているのかも自覚してしまったしてしまった。

(私、ウサギのことが好きなんだ…。)

愛とか恋についていろいろ理屈をごねてない頭を使って悩んだりしたけど認めてしまえばこんなにもシンプルになるものだったのかと驚く。

この人の幸せそうな笑顔をこれからも近くで見ていたいと思って、この笑顔に私がさせていて、それがこんなにも胸を高鳴らせる。
繋いだ手が恥ずかしくて、嬉しくて、切なくて、でも離したくなくて、そう思えることが幸せ。

(なるほど。これなら恋する人が綺麗になるのも納得だ。
たぶん中身から磨かれていくんだよね。私も多少はましになれば良いな~…。)

出来るだけ冷静になるように自己分析を客観的にする。
今はまだウサギに悟られたくない。

「また、迷子になりそうで怖いの。
保護者なんでしょ?ちゃんと家まで連れていっやて。」

嬉しいくせにどこまでも上から目線…。自分で言っておいて何だけど、恥ずかしかったにしても、もうちょっと他に言い方がなかったのか。
天の邪鬼な自分にウンザリしながら、それでもしっかり握る手が振り払われないのを良いことに言い直しもせずすましてウサギの隣を歩く。

「ハイハイ、仰せのままに。帰りに水槽買って帰ろうね~。」

小さい子どもに話す口調に少しむっとしてわざと足を踏みつけた所で琥珀たちと合流出来た。

少し名残惜しかったけど反撃を避ける意味も込め、手を離してるーちゃんに駆け寄る。

「…。」
凄まじい怒りオーラを感じ取った私はげんこつかビンタがくることを覚悟して身構えたが、そういった過激な衝撃は無くて代わりに鈍い痛みが両頬にじりじりと広がった。
頬を掴む指に徐々に力を加えつつ、左右に可能な限り広げようとしている。
青あざになりそうなくらい痛い。

「いひゃいれす…。」

「…だって、痛くして差し上げてますもの。
私にこうゆう行為をしてほしいのに素直に伝えることが出来なくて今回のような結果になったのですよね。
考えが至らず申し訳ございませんでした。
これからは何時でも御希望にお応え出来るようもっとレパートリーを増やしていくように致しますから今日のところはこれで我慢して下さいね?」

(るーちゃんの中の私ってなに設定なの!?)

思いはしても怖くて口には出せないのでとりあえず他の皆にSOS の視線を送るものの琥珀には華麗にスルーされ、雪夜兄さんには微笑まれ、ウサギには目をそらされた。
当然と言えば当然なのだけれど3人とも助けてくれる気はないらしい。
ここは自分でなんとかしないといけないので恐る恐る喋りづらい口を動かした。


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