『霊魔伝』其の弐 火の章
「えっ、そうなのか。本当の姿ってどんな姿。」

《隠していたわけじゃない。その機会がなかっただけだ。》

《ふぉ、ふぉ、。修行に入れば、嫌でも見ることになる。のう、小太郎。》

《そうだ。本当の姿を見ても、驚くなよ零次朗。》

「そんなにすごい姿なのか。でも、俺とおまえとは友達だ。見た目の姿形で判断しているわけじゃないぜ、昔から。」

《わかっているぞ、零次朗。俺は佐緒里との約束で守ってきたが、その間におまえが好きになった。心からおまえを守りたいと思うようになった。》

「ありがとう、小太郎。俺も同じだよ。」

《ふぉ。本当に仲がよいの。久しぶりじゃ、霊魔と人の強い信頼を見るのは。それがいつかはお互いの役に立つときが来るじゃろう。小太郎、幸せ者じゃな。》

そう言うと、白狐老はひとつの社の前で呪文を唱え始めた。

《オン・ボラカ・サンバチリ・ソワカ。木の属性を司る霊魔よ。ここに現れ、我らが力となれ。》

すると、周囲の木々がざわめき始めた。そしてどこからとも無く、声が聞こえてきた。

《我を呼び起こす者は何者じゃ。我が盟友であれば良し。我が友であればなお良し。そうでない者は、静かに立ち去れ。》

《我はそなたの盟友であり、友である者じゃ。その姿を見せてくれ。》

白狐老はそう言うと、両手をあげた。
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